オオムラサキ 標準の大きさに飼育成功

オオムラサキ 雄の羽化(羽が伸びる途中) 前翅長50mmまで伸びました
オオムラサキ 雄の羽化(羽が伸びる途中) 前翅長50mmまで伸びました

 「切り枝で、室内でオオムラサキを飼育すると小型になる」と、みな様がおっしゃっておられた、オオムラサキの越冬幼虫の飼育観察がほぼ終了します。この写真の雄は5令からお預かりしたので、前翅長50mmというのは、当たり前かもしれません。

 越冬明けの4令から飼育したメスが、ゆっくり成長してやっと羽化しました。前翅長55mm、図鑑的標準個体が得られました。

 日々ひたすらエノキの若葉を用意し、どのようにあたえたら良いのかよく観察を続け、色々な工夫を重ねました。どのような生き物も、室内で飼育すると言うことは人間の勝手で、生き物にとっては迷惑なことです。それで私たちは、できる限りその生き物がその生き物らしく過ごしてもらえるように環境を整え、朝晩手入れをして、閉じこめたことによる病気や、不慮の事故に遭わないように観察し続けます。オオムラサキは、同じエノキを食べるゴマダラチョウや、アカボシゴマダラよりも、ずっと神経質で、エノキが瑞々しくないと食べません。今、オオムラサキは幼虫を1匹残すばかりになり、ホッとしてノンビリな観察になりました。

 オオムラサキは、幼虫の生育期間が長く、その分エノキの葉をたくさん食べて大型になります。実はオオムラサキの越冬幼虫が来る直前に、ゴマダラチョウや、アカボシゴマダラの終令幼虫を育て、オオムラサキが5令になるころにはそれらが羽化し、更にその次世代の卵から育てた幼虫が、オオムラサキの羽化の合間にどんどん羽化しています。今は、吹き流しの中で、みんなで仲良く吸蜜しています。

 これからオオムラサキの卵を採集して、孵化を待ちます。