4月から、第3巻『身近なチョウ 何を食べてどこにすんでいるのだろう(仮題)』の取材で、文京区と周辺3区の公園や、公共緑地にくるチョウの調査をしています。今年は、アゲハの幼虫に出会っていないので、あちこちと食樹の観察をしています。そんな中で、ふと足下に気配を感じたスタッフが、トタテグモのすみかを見つけました。
さっそく本日午後、チョウの調査をしながら中学生たちと観察会をしました。
図鑑によれば、準絶滅危惧の「キシノウエトタテグモ」です。巣のフタや、巣穴の内側は糸で裏打ちされています。穴の深さは約10cm程度、ジグモと同じくらいの大きさです。
クモたちは絹糸を出して、色々な巣を作ります。クモの糸は細く強靱で、近年の工学技術の発達で、使われなくなったかもしれませんが、永く銃の照準器の十字目盛りに使われてきました。強靱で弾力性に富み、温度変化にも狂わない特性は、人工繊維では代替品がありません。そして、クモの糸の強度は同じ太さの鋼鉄の5倍、伸縮率はナイロンの2倍もあるそうで、近年では人工的にクモの糸を創りだす研究が盛んです。
私は幼少時、ジョロウグモは苦手でしたが、ジグモやハエトリグモは好んで観察していました。それは、3歳から小学校低学年までを過ごした世田谷区で、近所にジグモの巣が沢山ある場所があったからかもしれません。日がな1日、すぐそばに開いたすり鉢のような巣のアリジゴクと共に、エサを巣の入口に運び観察をしていました・・・。
この頃ではジグモやアリジゴクなどが棲める環境も少なくなりましたが、トタテグモと共に100年後の子どもたちに残したい生き物です。
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