街路樹下のエノキの伐採

街路樹で採集し、育てたアカボシゴマダラ
街路樹で採集し、育てたアカボシゴマダラ

 8月の半ばすぎから、近所の街路樹から採集するチョウの幼虫の種類が増えて、今、アトリエには5種類のチョウの幼虫が育っています。

 生き物を描くときには、写真を見て描くのですか・・・ とよく聞かれます。

 そう、確かに遠い国の生き物や、大きな生き物は飼育できませんから・・・ 動物などは、できる限り骨格や、筋肉の動きなどを詳細に調べて描きます。ほ乳類だからと言って同じ口の開け方や耳の動かし方をするわけではないので、実物が見られなければビデオを見たり、それなりに努力します。

 チョウの場合、やっぱり飼育して描くのが一番きれいに描けます。昨年、観察し、写真に撮って描いたオオムラサキより、今年羽化した個体をためつすかめつ眺めて描いた絵の方が生きが良いです。3巻には3枚のオオムラサキ(雄)の絵があります。1枚は昨年1巻のために描いたもの、2枚目は春、幼虫を育てながら写真から起こして描いたもの。3枚目は、羽化した個体を長く観察して描いたもの。

 チョウは羽化した直後が一番観察できるので、よく観察し、写真もたくさんとってから放しますが、今年のオオムラサキはペアリングをしたかったので、長くアトリエに置いて、お里帰りしましたから、100時間を超える描画時間の間中観察できました。

 タイトルと違う文章が、延々続きました。

 つまり、チョウを描くためには食草が必要で、私は、街路樹下の実生で育つエノキやミカンを愛用しています。国道、都道、区道と、管轄が違いますが、一つ同じなのは、管理者が植えた種以外は突然伐採されることです。

 チョウの飼育のために食草を街路樹から切ると言うことは、込み入った部分を切ったり、樹様を整える意味もあります。徒長枝が歩道に飛び出したりしないように適度に刈り込んでいれば、不要な木が生えていると見えないでしょうし、通行人の妨げにはなりません・・・。エノキ、ミカン、クワ、カエデなどは、区部の街路樹下にたくさん生えています。

 この写真のアカボシゴマダラは、「街路樹でも育つから増える・・・」と、言われています。確かに街路樹では、アカボシゴマダラを多く採集します。でも、文京区で少なくなりつつあるゴマダラチョウも育っているのです。私は、こういう種の保存のために、街路樹の実生ばえはありがたいと思っております。

 

 つい先日、近所のエノキにゴマダラチョウの幼虫がたくさん育っていて、オオムラサキの食草を採集しながら、観察してきましたが、3日後に根元からばっさり・・・ となりのカエデは残りました・・・  阿~っ!、あのゴマダラチョウ採集しとけば良かった・・・

 

 時々、このようなことになります。

 

追記 

 ゴマダラチョウは育てたら放蝶します。しかし、アカボシゴマダラは外来種ですから、標本にしたい方に差し上げるか、命が終わるまで観察するより無いのです・・・。もしお手元で育てているアカボシゴマダラがいましたら、生き物に罪はありませんが、野外に放さないで下さい。